「GIBSON」は、Fenderと並んでエレキギターの歴史を作ってきたギターブランドです。その太くて独特の粘りのあるサウンドは、現在でも多くのギタリストの演奏と楽曲作成をサポートしています。
本記事では、今日に至るまでのGIBSONの歴史について解説していきましょう。
GIBSONの誕生と2人のギタリストの存在
「GIBSON」の始まりは、1894年でした。創設者の「オーヴィル・ヘンリー・ギブソン」がアメリカのミシガン州でマンドリンの製作を行うところから始まり、1902年に販売会社として「the Gibson Mandolin-Guitar Mfg. Co, Ltd.」を設立します。
ギブソン氏の意向
ギブソン氏は会社の経営を筆頭株主に任せ、自身は会社経営に全く関わらないという変わったスタイルを貫きます。報酬もブランドと自身が取得した特許の使用料のみしか受け取らず、業務は工場に出向いて製作上のアドバイスをするだけ。1918年に死去するまで、経営者ではなくあくまで製作者としてマンドリンと向き合い続けます。
1920年代から1930年代にかけ、GIBSON社は数々のギターのデザイン革新に貢献、程なくしてアーチトップギターのトップ企業の仲間入りを果たします。
GIBSON社としての初のエレキギターの誕生
GIBSON社が初めてエレキギターを発売したのは、1936年でした。そのギターの名前は「ES-150」。ジャズミュージシャンの「チャーリー・クリスチャン」に愛用されたことで、今日でもES-150はチャーリー・クリスチャンモデルとして語り継がれています。
以前は「Epiphone」のデラックスギターを使用していたチャーリー・クリスチャンですが、ES-150に出会って以降はGIBSON社のギターをメインとして活動しました。
チャーリー・クリスチャンが使用したGIBSON社のギターは、ES-150の他に「ES-250」、「L-5」などがあります。
GIBSONとレスポール氏の出会い
GIBSONの歴史の中で最も重要だと言えるのが、ジャズギタリストの「レスポール」氏との出会いでした。それまではホロウボディのギターを中心に製作していたGIBSON社ですが、1952年にレスポール氏と共同でソリッドボディのエレキギターの試作を始めます。そこで誕生したのが、「レスポール」でした。
同じソリッドボディながら、Fenderのクリーンでシャープな音色とは異なり、GIBSONのレスポールは太くて甘い音色が特徴です。このレスポールがすぐさま人気となり、レスポールからは以下の4種類のモデルが登場しました。
・レスポールジュニア
・レスポールスタンダード
・レスポールスペシャル
・レスポールカスタム
レスポール氏はギタリストとしての活躍だけでなく、経営が悪化したEpiphone社の救済をGIBSON社に提言するなどの功績を残しています。
GIBSONの経営悪化
レスポールの人気で業績が好調だったGIBSON社ですが、1960年代に入ると次第に経営が悪化してきます。その理由は、日本でのコピーモデルの登場でした。日本の「フジゲン」社が「アイバニーズ」や「グレコ」のブランドでGIBSONのコピーモデルを製造販売するようになります。1977年にGIBSON社はフジゲン社ら複数の国内メーカーを提訴するも、すでに商標登録済だったことからGIBSON社は敗訴。フジゲン社がGIBSON社に商標登録を譲渡する形で決着を迎えます。
その後は工場の移転、「Cakewalk」社や「フィリップス」の音響機器部門など企業買収を行うも、2017年にはギターの年間販売数が過去10年間で約150万本から約100万本に急激に低下したと報じられました。
2018年5月、GIBSON社はデラウェア州の裁判所に「連邦倒産法第11章」の適用を申請。事実上の破産となります。以降は事業の縮小などで経営再編を行い、新体制でのギター製作を行っています。
GIBSONのギター紹介
ここでは、レスポール以外のGIBSONのギターを紹介していきます。
・ES-175 / 1949年
・エクスプローラー /1958年
・フライングV / 1958年
・ES-335 / 1958年
・SG / 1961年
・ファイヤーバード / 1963年
上記のモデルは現在でも販売されているギターですが、エクスプローラーやフライングVは特に奇抜なデザインだったため、発売開始からわずか数年で生産中止になってしまいました。
その他にも「RD」、「マローダー」、「モダーン」などのモデルも発売されましたが、どれも生産中止となっています。
GIBSONは世界中のギタリストに愛用されているブランド
レスポールの発売や経営破綻などを経て、現在もGIBSON社はギター製作を中心に事業を展開しています。レスポールやGIBSONというブランドに憧れを抱き、使い続けているギタリストは世界中にいます。
GIBSON社には、今後も世界を牽引するギターブランドでい続けて欲しいと願っています。
著者 マイスター大崎
チバカン楽器 代表
ESPミュージカルアカデミーギタークラフト科リペアコース卒業後 ヤマハミュージックトレーディング内にてMARSHALLの修理会社の門をたたく。
勉強不足を感じ退社後 ROLANDの修理会社にて10年間ほどアンプ、エフェクターの修理業に従事。
退社後 地元の大型複合リサイクルショップ【千葉鑑定団】へ入社。店長を経験後 楽器専門【チバカン楽器】を立ちあげ今に至る。
愛機はFender TelecasterBass1969 、Chaki ウッドベース、
他ジャパンヴィンテージのギターを多数所持。趣味は【H2Y Labolatory】名義でエフェクターの改造や製作をしている。
電線や古いコンデンサー好きで特にオイルコンデンサーの匂いが好き。エロくて変態ということはベーシストの特徴。